
「お薬のおかげで食欲が落ちて順調に体重が減ってきたけれど、最近なんだか疲れやすい…」
「食べる量が減って、栄養不足になっていないか心配」
リベルサスやマンジャロなどのGLP-1/GIP関連薬を使用していると、このような不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お薬の効果で食欲が抑えられるのは体重管理にとって嬉しい反面、必要な栄養まで不足してしまうと、健康を損なったり、逆に痩せにくくなってしまう可能性があります。
今回は、治療中に気をつけたい「栄養不足」のリスクと、健康的に体重を落とすための食事の優先順位やサプリメントの活用法について、わかりやすく解説します。
目次
■薬が効いているからこそ要注意?「栄養不足」の落とし穴
「薬を飲んで食事量が減っただけなのに、なぜ栄養不足に?」と疑問に思うかもしれません。実は、お薬がしっかり効いている時こそ気をつけるべきポイントがあります。
◎お薬の働きによる「食欲抑制」が強すぎるケース
リベルサスやマンジャロは、胃腸の動きを穏やかにして満腹感を持続させたり、食欲をコントロールしたりする働きがあります。
そのため、食欲の低下が起こりやすくなり、飲み始めや用量を増やしたタイミングでは、吐き気や胃のムカつきといった胃腸症状が出やすくなります。
食欲が自然と落ちることで体重減少が期待できる反面、効き目が強すぎると「1日に必要な最低限の食事」すらとれなくなり、結果として栄養不足になってしまうケースがあるのです。
◎栄養不足が引き起こす「代謝の低下」と「リバウンド」
「食べない方が早く痩せるから良いのでは?」と思うかもしれません。しかし、極端な栄養不足は逆効果です。
体に必要な栄養素、とくにタンパク質が足りなくなると、脂肪だけでなく「筋肉」まで落ちてしまいます。
筋肉が減ると基礎代謝(何もしなくても消費されるカロリー)が低下するため、お薬をやめた途端にリバウンドしやすくなる可能性もあります。また、ビタミンやミネラルが不足することで、肌荒れ、抜け毛、強い倦怠感や貧血を引き起こす原因にもなります。
■食べられない時はどうする? 治療中の「食事の優先順位」
食欲がなくてたくさん食べられない時は、以下の優先順位を意識して口にできるものを選んでみましょう。
◎優先度1:水分と電解質による「脱水予防」
食事が減ると、食べ物から摂れていた水分も減るため、知らないうちに脱水になりがちです。まずは1日1.5〜2リットルを目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。
※心不全や腎不全などで医師から水分制限の指示が
出ている方は、必ず主治医の指示に従ってください
◎優先度2:筋肉を維持するための「タンパク質」
筋肉を落とさないために重要です。まずは「ご自身の体重×1.0g/日」を下回らないこと(体重60kgなら1日最低60g)を一つの目安にしてみてください。年齢や運動量に応じて、医師や管理栄養士と目標量を調整するのが理想です。
食べやすい具体例
卵、豆腐、納豆、ギリシャヨーグルト、ツナ缶、白身魚、鶏むね肉、具だくさん味噌汁など。
※腎機能に不安がある方は、摂取量について事前に医師へご相談ください。
◎優先度3:便秘を防ぐ「食物繊維」と「適度な脂質」
お薬の影響や食事量の減少で、便秘になりやすくなることも。海藻やきのこから食物繊維を摂り、少量のオリーブオイルなど良質な脂質を組み合わせるのがスムーズなお通じのコツです。
【重要】便秘対策の注意点
水分不足の状態で食物繊維「だけ」を急に増やすと、かえって便秘が悪化することがあるため、必ずたっぷりの水分と一緒に摂りましょう。
◎優先度4:エネルギー源となる「主食(炭水化物)」
体を動かすエネルギー源として大切ですが、お腹がいっぱいで食べられない時は無理に詰め込む必要はありません。極端に抜きすぎるのは避けるべきですが、全体のバランスを見ながら「食べられる範囲で」摂るようにしましょう。
■食欲がない・吐き気がある日の「具体的な工夫」
栄養をとらなければいけないのは分かっていても、胃がムカムカして食べられない日もあります。そんな時は、以下のような工夫を取り入れてみてください。
◎1回の食事量を減らし、こまめに食べる
1日3食にこだわらず、「1日5〜6回」など小分けにして少しずつ食べてみてください。胃を空っぽにしすぎず、一度に詰め込まないことで胃腸への負担を和らげます。
◎胃に優しい消化の良いメニューを選ぶ
揚げ物や脂身の多い肉、スパイスなどの刺激物は吐き気を悪化させやすいので避けましょう。お粥、うどん、白身魚、スープなどさっぱりとした食事がおすすめです。
◎食べられない日の「最低ライン」を決める
どうしても食欲がない日は「スープと卵だけ」「ヨーグルトとバナナだけ」「プロテインを半量だけ」など、消化が良くて栄養価の高いものを少しでも胃に入れることを目標にしてください。
◎【ワンポイント:リベルサスを服用中の方へ】
リベルサス(飲み薬)は、飲み方によって効果や胃腸症状の出方が変わります。必ず「起床後の空腹時」に「約120mL以下の少量の水」で服用し、服用後少なくとも30分は飲食や他の経口薬の服用を避けるというルールを守りましょう。
■リベルサス・マンジャロ使用時の「注意点」
以下の点に注意してください。
◎サプリメント・プロテイン活用の注意点
過剰摂取の回避
自己判断での併用は、脂溶性ビタミンや鉄分などの過剰摂取を招くリスクがあります。
体質に合わせたて選ぶ
乳製品でお腹がゆるくなる方は、WPIやソイプロテインを少量からお試しください。
◎注意!こんなサインが出たら迷わず医師に相談を
体重が減るのは嬉しいことですが、危険な栄養不足や副作用を見逃さないことが大切です。以下のような症状があれば、我慢せずに受診してください。
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脱水や「体調不良を伴う」急激な体重減少
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強い吐き気や、低血糖の症状
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みぞおちや背中の「強い痛み」
「副作用が強いから少し薬を休もう」「慣れてきたから自分で量を増やそう」といった自己判断での中止や増量は、思わぬトラブルの原因になります。必ず医師に相談して調整を行うようにしましょう。
■「食べられない」「栄養不足が心配」と思ったら、まずはご相談ください
お悩みがあれば、お一人で抱え込まずに、まずは当クリニックへご相談ください。
当院では、ただお薬を処方するだけでなく、毎日の「お食事の状況」や「体調」をしっかりとお伺いします。その上で、現在のお食事で足りていない栄養素をアドバイスしたり、健康的に治療を続けられるようサポートいたします。
副作用の不安や食事のお悩みがある方は、ぜひお気軽に医師までお声がけください。リベルサスやマンジャロは、正しく使い、適切な栄養管理と合わせることで本来の力を発揮します。
