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大腸がんの症状をステージ別に解説|初期は無症状?見逃さないための検査とは


日本人の死因として常に上位にあがる「がん」。その中でも大腸がんは、罹患数(がんと診断される人の数)が男女ともに非常に多い病気です。


しかし、早期に発見できれば治癒する可能性が高いがんでもあります。問題なのは、かなり進行するまで「症状が出にくい」という点です。


まずは、大腸がんの前段階ともいえるポリープとの関係について、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


■そもそも「大腸がん」の初期症状はあるの?

大腸がんについて調べると「初期症状」という言葉がよく検索されていますが、実際には初期の大腸がんに自覚症状はほとんどありません。


なぜなら、大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないからです。お腹が痛い、便が出にくいといった症状は、がんがある程度大きくなってから現れるサインだと認識しておきましょう。


◎「無症状」がほとんど!だからこそ怖い初期段階

大腸がんは、腸の一番内側にある粘膜から発生します。この粘膜の表面にがんができても、痛みや違和感を感じる神経が通っていないため、脳に異常が伝わらないのです。


また、早期のがんは小さく柔らかいため、便の通り道を塞ぐこともありません。食欲もあり、体調も良い。そんな「健康に見える状態」の中で静かに進行していくのが、大腸がんの特徴であり、恐ろしい点なのです。


◎痔だと自己判断は危険!「血便」は見逃せないサイン

初期段階で唯一現れる可能性があるサインが「血便」です。


便に血が混じったり、拭いた紙に血がついたりします。しかし、これを「痔(じ)のせいだ」と自己判断して放置してしまう方がとても多いのも現状です。


確かに痔は出血の原因として一般的ですが、実はその裏に直腸がんなどが隠れているかもしれません。出血があるということは体からのSOSです。自己判断せず、必ず医療機関で原因を確かめることが重要です。


■【ステージ別】大腸がんの進行と現れる症状

大腸がんは進行度によって「ステージ(病期)」に分けられます。ステージはがんの深さや、リンパ節への転移、他の臓器への転移の有無で決まります。


ここではステージ0からステージIVまで、進行に伴ってどのような症状の変化が現れるのかを具体的に見ていきましょう。


◎ステージ0~I(早期):自覚症状はほぼなし

ステージ0やIは、がんが粘膜やその下の層にとどまっている早期の段階です。


この時期は前述の通り、痛みや排便の異常といった自覚症状はほぼありません。出血があったとしても微量で、肉眼では確認できないことがほとんどです。


この段階で見つかる人の多くは、健康診断の便潜血検査で引っかかったり、人間ドックを受けたりしたことがきっかけです。ここで発見できれば、内視鏡治療や小さな手術で完治が期待できます。


◎ステージII~III(進行期):便が細くなる・残便感・腹痛

ステージIIからIIIになると、がんは大腸の壁の筋肉の層を超え、さらに深く進行していきます。がん自体も大きくなり、腸の内側が狭くなるため、物理的な通過障害が起き始めます。


代表的な症状は、便が通りにくくなることで便が鉛筆のように細くなる「便柱細小」や、出したはずなのにまだ残っている感じがする「残便感」です。また、便秘と下痢を繰り返したり、お腹の張りや痛みを感じたりすることも増えてきます。


◎ステージIV(末期):貧血や他臓器への影響

ステージIVは、がんが肝臓や肺など離れた臓器に転移している、または腹膜に広がっている状態です。


大腸の症状だけでなく、全身に影響が及ぶことがあります。がんからの持続的な出血による重度の貧血、転移した臓器の機能低下による全身のだるさ、体重減少などが現れます。腸が完全に詰まる「腸閉塞」を起こすと、激しい腹痛や嘔吐で救急搬送されることもあります。


こうなる前に発見することが何より重要です。


■症状が出る前に!大腸がんを見つけるための「検査」

ここまで解説してきた通り、症状が出たときには、すでにがんがある程度進行している可能性があります。だからこそ、大腸がん対策で重要なのは「症状が出る前に検査を受けること」です。


大腸がんを発見するための主な検査方法は2つあります。


◎手軽に受けられる「便潜血検査」とその限界

健康診断などで広く行われているのが「便潜血検査(検便)」です。


便に混じった目に見えない血液を調べる検査で、食事制限もなく、自宅で採取して提出するだけの手軽さがメリットです。しかし、この検査は大腸がんがあっても出血していなければ「陰性(異常なし)」と出る可能性があります。


あくまで「がんの疑いがある人を拾い上げるための検査」であり、陰性だからといって100%安心できるわけではない点に注意が必要です。


◎確実な発見には「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」

有効的な検査方法は「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」です。


肛門からカメラを入れ、医師が直接大腸の内部を観察します。この検査なら、便潜血検査では見つけられないような平坦な早期がんや、将来がんになる前のポリープも発見することができます。


さらに、ポリープが見つかればその場で切除することも可能です。つまり、検査を受けること自体が大腸がんの予防に直結するのです。


■まとめ:定期的な検査で「無症状のうち」に予防・早期発見を

大腸がんは、早期発見さえできれば怖がりすぎる必要はありません。しかし、初期症状に乏しいため、症状が出る頃にはすでに病気が進行していることが多いです。


「自分は元気だから」「便通も良いから」と過信せず、定期的に検査を受けるようにすることが大切です。それが、あなたと家族の未来を守ります。


具体的にどのくらいの頻度で検査を受ければよいのか、検査の流れはどうなっているのかについては、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にして、検査の予約を検討してみてください。


大腸ポリープの検査では何をする?検査の頻度は?


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