
「痩せる薬と聞いて始めたけれど、こんなに気持ち悪くなるなんて聞いてない…」リベルサスを飲み始めて、そんな不安に襲われていませんか?
その吐き気や下痢は、あなたの身体が悪いわけでも、薬が合っていないわけでもないのです。今回はリベルサスの副作用をどう乗り越えればいいのかわかりやすくお話しします。
目次
■なぜ気持ち悪くなるの?リベルサスの作用と副作用の関係
なぜ胃がムカムカしたりお腹が緩くなったりするのでしょうか。実は「痩せるためのメカニズム」そのものが深く関係しています。
◎胃の動きをスローモーションに?痩せるための仕組み
リベルサスに含まれるセマグルチドという成分は、私たちの身体にあるホルモンの真似をして働きます。その働きは、胃の動きをあえて「スローモーション」にすることです。
食べたものが胃から腸へ移動するスピードをゆっくりにすることで、少しの食事でもずっとお腹がいっぱいだと脳に錯覚させます。つまり、「腹持ちが良い状態」を作り出すことで、食欲を抑制する傾向があります。
◎脳がビックリして誤作動?「吐き気」や「下痢」が起こるワケ
身体が「胃の動きが抑制された状態」に慣れていない初期段階では、胃の中に食べ物が残り続ける感覚に、不快感を強く感じてしまうことがあります。これが「吐き気」の正体です。
この薬は腸の動きにも指令を出すため、水分バランスが崩れて便秘になったり、逆に急激に動いて下痢になったりと、便通異常を引き起こすことがあります。副作用の出方には個人差があり、必ずしも効果の強さと比例するわけではありません。
■リベルサスの副作用はいつまで続くの?身体が慣れるまでの「期間」の目安
副作用が現れた際、気がかりなのは「これがいつまで続くのか」という点でしょう。
◎服用開始から1〜2週間がピークの傾向
臨床データや一般的な経過において、胃腸障害などの副作用は、飲み始めや薬の用量を増やした直後のタイミングで頻度高く現れる傾向があります。多くのケースでは、服用開始1週間から2週間程度が症状のピークです。
その後3週間から1ヶ月程度経過すると、身体が薬の作用に順応し、症状が消失したり気にならない程度まで改善したりすることが報告されています。ただし、全員がすぐに慣れるわけではありません。個人差があり、症状が長引く場合もあります。
◎焦りは禁物!少ない量からスタートするのには理由がある
リベルサスには3mg、7mg、14mgという3段階の用量が設定されています。治療開始時に高用量を使用せず、少ない量(3mg)からスタートするのは、身体を徐々に薬に慣らし、こうした消化器症状の発現リスクを最小限に抑えるためです。
原則として最低4週間の間隔を空けて身体の状態を確認しながら、医師の判断のもとで慎重に増量していくことが、安全に治療を継続するための重要なポイントです。
■リベルサスの副作用、吐き気や下痢を和らげる方法は?
仕組みや期間がわかっても、今まさに襲ってくる吐き気や下痢はどうにかしたいものです。薬に頼る前に、少し行動を変えるだけで、その不快感を減らせるかもしれません。
◎「ちょこちょこ食べ」が正解?食事の回数とメニューの選び方
胃の動きが緩やかになっている状態で、これまでと同じ量を一度に食べてしまうと、胃に大きな負担がかかり吐き気が強まる原因になります。
おすすめなのは、1回の食事を減らして、その分を1日4回や5回に分けて食べる「分食」スタイルです。これなら胃への負担を少なく抑えられます。
また、脂質の多い食事は胃での滞留時間が長く、むかつきを助長しがちです。慣れるまでは消化の良いうどんや鶏ささみなどを選び、「お腹いっぱいになる手前」で箸を置く習慣をつけると、症状緩和に役立ちます。
◎意外と盲点!服装の締め付けと、正しい水分補給のコツ
下痢が続くと身体から水分が抜けていってしまいますが、ここで冷たい水を一気飲みするのは控えましょう。腸を刺激してさらに下痢を招いてしまうことがあります。常温の水や白湯を少しずつ飲むのがおすすめです。
そして意外と見落としがちなのが「服」です。ウエストをぎゅっと締め付けるスキニーやベルトは、物理的に胃を圧迫して吐き気を誘発します。お家で過ごす時だけでも、お腹周りがゆったりとした服に着替えてリラックスしてみてください。それだけで楽になることもあります。
■こんな症状があれば要注意!医療機関に相談すべき危険サイン
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お水を飲んでもすぐに戻してしまうほどの嘔吐
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立っていられないほどのめまいやふらつき
この場合は、危険な脱水症状や低血糖の可能性があります。
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背中まで突き抜けるような激しい腹痛
稀ですが「急性膵炎」という病気の可能性もゼロではありません。いつもの胃痛と違うなと感じたら、すぐに医師の診察を受けてください。
■リベルサスの吐き気・下痢と上手につき合うために
リベルサスは2型糖尿病治療薬であり、体重減少は副次的効果のため、個人差があります。必ず医師の指導のもとで使用してください。
副作用で生活がままならないほど辛い時は、我慢せず相談しましょう。当院では、吐き気止めや整腸剤を一緒に出したり、一度薬の量を減らして様子を見たりと、あなたに合わせた解決策を提案します。
「せっかく始めたのに」と自分を責めず、辛いことはお気軽にご相談ください。
