大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかる病気とは?|テラッセ納屋橋ファミリークリニック|名古屋市中区栄・伏見駅の内科・消化器内科・皮膚科

伏見駅7番出口より徒歩6分
〒460-0008
名古屋市中区栄一丁目2番3号プラウドタワー名古屋栄201

ブログ BLOG

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかる病気とは?


「便秘がちだけど、年のせいかな」「ちょっと血が混じったけど、病院って行かなきゃだめかな?」

そんなふうに見過ごされやすい症状の中に、実は重大な病気が潜んでいることがあります。


大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、「自覚症状が出にくい病気」を可視化できる、数少ない検査です。


今回は、大腸内視鏡で実際にわかる病気の種類を解説します。


目次

■大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかることとは?

大腸内視鏡検査は、同時に治療も行える点が大きな特徴で、早期の大腸がんや前がん病変を発見・切除することにより、将来のがんリスクを減らせる可能性が高まります。


◎ポリープだけじゃない、大腸検査の本当の役割

大腸カメラというとポリープの発見が注目されがちですが、実はそれだけではありません。炎症性疾患や腫瘍、出血の原因、色素沈着や粘膜の変化など、多岐にわたる異常を検出できます。自覚症状のない段階で発見できるのは、内視鏡の強みです。


◎便潜血検査だけでは見つからない病気がある?

便潜血検査は、出血を伴う病変を調べるスクリーニング検査です。しかし、早期がんやポリープの多くは出血がないため、検出できないケースが多くあります。


◎40歳を過ぎたら一度は検査が推奨される理由

大腸がんは40歳を境に発症リスクが急増します。食生活の変化や生活習慣も影響し、日本では大腸がんの罹患数・死亡数ともに増加傾向です。症状がないうちに検査を受けることで、早期発見・早期治療につながります。


■大腸内視鏡で見つかる「がん・前がん病変」

ここでは、大腸カメラで発見される「がんやその前段階」の病気について詳しく見ていきましょう。


◎初期なら内視鏡で治せる「早期大腸がん」

早期大腸がんとは、がんがまだ粘膜の表面にとどまっている段階のことを指します。この段階で発見できれば、内視鏡での切除によって治療が完了することがほとんどです。


◎気づかぬうちに進行する「進行大腸がん」

早期がんを放置してしまうと、がんは粘膜の深い部分にまで広がり、リンパ節や他の臓器への転移リスクが高まります。進行がんになると外科手術や抗がん剤治療など、身体への負担が大きな治療が必要になります。


◎がんのもとになる「大腸ポリープ(腺腫)」とは?

「腺腫」は、良性であっても将来的にがん化する可能性のある前がん病変です。自覚症状がないため、内視鏡検査でなければ発見は困難ですが、発見された場合にはその場で切除できることも多く、将来の大腸がん予防につながります。


◎珍しいけれど見逃せない「直腸カルチノイド」

直腸カルチノイドは比較的まれな腫瘍ですが、がんに近い性質を持ち、10mmを超えるとリンパ節や肝臓への転移リスクが高まります。


■慢性炎症や腫瘍などの病気も発見できる

これらの病気は放置するとQOLの低下や大腸がんのリスクを高めることがあるため、早期発見と適切なコントロールが重要です。


◎血便・下痢が長く続くなら「潰瘍性大腸炎」の疑い

大腸の粘膜に慢性的な炎症を引き起こす原因不明の病気で、国の難病にも指定されています。下痢や血便、腹痛が続くのが特徴で、症状がない時期(寛解期)と悪化する時期(再燃期)を繰り返します。


◎小腸から大腸まで炎症が続く「クローン病」

口から肛門まで消化管全体に炎症が起こる病気で、潰瘍性大腸炎と並ぶ代表的な炎症性腸疾患です。若年層に多く、慢性的な下痢や腹痛、体重減少などが見られます。


◎便秘薬で“腸が黒くなる”?「大腸メラノーシス」

大腸の粘膜が黒く色素沈着している状態で、主にセンナや大黄などを含む刺激性便秘薬の長期使用が原因です。病気自体に症状はありません。


◎自覚症状のない腫瘍「大腸脂肪腫・粘膜下腫瘍」

大腸の粘膜下から発生する腫瘍には、脂肪腫やその他の粘膜下腫瘍があり、多くは良性ですが、稀に悪性化することがあります。


■年齢とともに増える疾患も見逃さない

加齢や生活習慣の影響により、大腸にはさまざまな変化が現れます。


◎大腸の壁が飛び出す「大腸憩室症」とは?

大腸の壁の一部が袋状に外側へ飛び出す状態です。多くは無症状ですが、炎症(憩室炎)や出血が起こると腹痛や下血の原因になります。食物繊維の不足や加齢が原因とされており、生活習慣の見直しも予防につながります。


◎出血するまで気づかない「直腸潰瘍」

肛門近くの直腸に浅い潰瘍ができる病気で、出血があるまで気づかれにくいのが特徴です。貧血を引き起こすほどの出血になることもあり、高齢者や栄養不足の方に多く見られます。


◎突然の腹痛に要注意「虚血性大腸炎」

大腸への血流が一時的に低下することで発症し、腹痛や血便、下痢などを引き起こします。便秘や動脈硬化が関係しており、重症の場合は入院や手術が必要になることもあります。


■その他、大腸カメラで発見されることがある疾患

がんや炎症だけでなく、比較的珍しい病気や異物も発見されることがあります。


◎実はよくある「若年性ポリープ」

主に小児期から若年期にかけて発生するとされる良性のポリープで、がん化の心配はほとんどありません。多くは血便や便潜血検査陽性から精密検査で発見されます。


◎緊張でお腹がゆるくなる「過敏性腸症候群(IBS)」

腸に炎症などの異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常が慢性的に続く病気です。ストレスが大きく関与しており、治療には生活習慣の見直しや薬物療法が必要です。


◎がん治療後に起こる「放射線性腸炎」

がんの放射線治療後に腸の粘膜に炎症が起きる病気で、下血や便通異常を引き起こします。治療歴のある方は、数年後でも症状が出ることがあるため注意が必要です。


◎直腸がんと誤解されやすい「直腸粘膜脱症候群」

排便時に粘膜が外に出てしまう状態で、がんと間違われることもあります。粘液の漏れや下着の汚れが見られる場合は専門的な診断が必要です。


◎口から肛門まで炎症が起きる「ベーチェット病(腸管型)」

全身性の炎症疾患で、腸管にも潰瘍を形成することがあります。主に右下腹部に痛みや出血が見られ、放置すると穿孔など重篤な合併症を引き起こすことがあります。


◎まれに異物が見つかることも「大腸異物」

まれに、魚の骨や薬の包装などの異物が大腸内で発見されることがあります。多くは自然に排出されますが、腸閉塞や穿孔を起こすこともあり、発見された場合には迅速な対応が必要です。


◎がんのようでがんではない?「神経内分泌腫瘍(NET・NEC)」

大腸の粘膜深層にできる稀な腫瘍で、かつては「カルチノイド」とも呼ばれていました。がんに似た性質を持ち、内視鏡で発見されることがあります。症状はほとんどないため、偶然の発見が多い腫瘍です。


■定期的な内視鏡検査で守る「腸の健康寿命」

症状がなくても、40歳を過ぎたら一度は検査を受けることで、皆さんの健康を守ることにつながります。見つかった所見や家族歴に応じて、適切な頻度でフォローしていくことで、病気の芽を早い段階で摘み取り、再発を防いでいきましょう。


まずは気軽にご相談ください。食事や運動などの生活習慣を整えることに加え、定期的な内視鏡検査を「腸のメンテナンス」として取り入れることで、将来の健康リスクを大きく減らせます。


テラッセ納屋橋ファミリークリニック
医師
⇒院長の経歴はこちら