「大腸カメラって、なんとなく怖い」「痛そうだし、恥ずかしい…」
そんなイメージから、検査をためらっている方は少なくありません。
けれども、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、大腸がんやポリープを早期に発見・予防するためにとても重要な検査です。
今回は、受診前によくある不安や疑問に寄り添いながら、検査の流れや対策をわかりやすく解説していきます。不安を解消し、安心して検査を受けるための一歩として、ぜひ参考にしてみてください。
目次
■大腸カメラは痛いって聞くけど…本当のところはどうなの?
大腸カメラは、大腸ポリープや大腸がんを早期に見つけるための検査です。痛みが気になる方は多いですが、その多くは「腸が押される・引っ張られる感じ」と「お腹の張り」です。感じ方には個人差があり、体格や腸の形、便秘の有無などが影響します。
◎お腹が引っ張られるような痛みがあるって本当?
腸は曲がりが多いため、内視鏡が奥へ進むときに腸壁に圧力などがかかると、引かれるような感覚が出ます。腸をできるだけ伸ばさずに進める挿入法を使うと、この痛みは抑えやすいです。
◎痛みを感じやすい人にはこんな傾向が
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痩せ型
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小柄の方
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慢性便秘がある方
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腹部手術歴がある方
腸のスペースや形状、癒着の影響で挿入が難しく、痛みを感じやすい傾向があります。炎症性腸疾患や過敏性腸症候群の方は、炎症や過敏性のため痛みに敏感になることがあります。
◎「痛くない検査法」ってどんなもの?
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静脈麻酔(意識下鎮静)でうとうとした状態にする
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腸を折りたたむように短縮して進める軸保持短縮法
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送気を抑えて水で満たす水浸法
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張り感が残りにくい炭酸ガス(CO₂)送気
などがあります。これらを組み合わせると、「想像より楽だった」と意外に思う方も多いのです。
■大腸カメラはどうやって検査するの?どれくらい時間がかかる?
当日は「準備→検査→回復」という流れです。腸管洗浄液を飲んで腸をきれいにし、検査自体は順調なら10〜15分で終わります。鎮静を使う場合は、その後に1〜2時間の安静が必要です。準備と回復を含めると、合計3〜6時間が目安です。
◎検査自体は15分が目安。ただし、半日は見ておいた方がいい
観察は短時間でも、腸をきれいにする時間と回復時間が必要です。病変が見つかり、詳しい観察や組織検査、切除を行うと検査時間は延びます。予定には余裕を持たせましょう。
◎下剤を飲む時間・麻酔の影響・検査後の流れ
腸管洗浄液は通常2リットル前後を2時間ほどで内服します。内服開始から2〜4時間で腸が透き通ってきます。鎮静を使うと検査中は楽になりますが、当日の運転はできません。回復後に医師から結果説明を受けて帰宅します。
◎仕事は休むべき?検査当日の過ごし方
鎮静ありなら当日の勤務や運転は避け、帰宅後は休息を優先しましょう。鎮静なしでも、下剤と検査で体力を使うため、タイトな予定は入れない方が安心です。
■検査前日のごはん、なにを食べたらいいの?
前日は「消化がよく、残渣が少ない」食事にします。食物繊維や脂質の多い食品は避け、量も控えめにしましょう。当日は医療機関の指示に従い、固形物は控え、許可された飲み物だけにすると安心です。
◎おすすめは「白粥・うどん・ゼリー」!
白粥や、やわらかく煮た素うどんは胃の滞在時間が短く、翌日に影響を与えにくいメニューです。濃い味の佃煮や薬味、具材の追加は控え、シンプルに仕上げましょう。具のないゼリー飲料も役立ちます。
◎NG食材を食べると検査ができないかも?
玄米や雑穀、全粒粉パン、そば、野菜や海藻、きのこ、豆類、ナッツ・ごま、種や果肉の多い果物、脂っこい料理は腸に残りやすく、視野不良の原因になります。検査前日は避けましょう。
◎コンビニで買える「検査OK食」
(食べ物)
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パック白飯
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レトルト粥
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具の少ないおにぎり(海苔は外す)
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食パン
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ロールパン
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素うどん
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プレーンのサラダチキン
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ちくわ
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かまぼこ
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豆腐
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卵料理
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具なしゼリー飲料
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プリン
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カステラ
(飲み物)
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水
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お茶
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砂糖のみのコーヒー
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紅茶
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透明なジュース
※果肉入りや乳製品飲料、アルコールは不可
■ポリープが見つかったらどうなる?切除はその場でできる?
ポリープはほとんどの場合、検査中に内視鏡で切除できます。形や大きさにより、電気スネアで切るポリペクトミー、粘膜下へ液体を入れて安全域を作る粘膜切除術(EMR)、通電せずに切るコールドポリペクトミーなどを使い分けます。
◎「そのまま帰れない」と言われるケースとは
大きい病変が複数ある場合や出血リスクが高い場合は、入院での管理が必要になることがあります。10mmを超える病変が多いと、外来のみでの対応が難しいことがあります。抗血小板薬・抗凝固薬を内服中の場合は、休薬の調整が必要です。
◎日帰りで済む?入院が必要になるケースもある?
小さなポリープは日帰りが一般的です。ただし、切除の規模や服薬状況、基礎疾患によっては入院が望ましい場合があります。事前の診察でリスクと方針を確認しておきましょう。
◎切除後に守りたい“2週間ルール”
切除後は出血や、まれに穿孔のリスクがあります。最初の数日はできるだけ安静にし、2週間ほどは重い荷物、腹圧のかかる運動、長時間の入浴、飲酒、遠出は控えてください。異常があればすぐに連絡しましょう。
■「恥ずかしい」が理由で検査を迷っていませんか?
検査は左側臥位で、検査着とタオルで必要最小限の露出に配慮されます。更衣や回復スペースもプライバシーに配慮されています。女性スタッフの同席や説明の丁寧さなど、安心の工夫がある施設も多く見られます。
■不安があっても、一歩踏み出すことが健康への近道です
大腸カメラ検査は、「痛そう」「恥ずかしい」「時間がかかりそう」など、さまざまな不安から避けてしまいがちですが、実際には医学の進歩と医師の技術によって、身体的にも精神的にも負担を減らした検査が可能になってきています。
心配なことがあれば、気軽にご相談ください。あなたの健康を守るための第一歩を、ぜひ踏み出しましょう。