健康診断やがん検診を受ける際に、「バリウム検査と内視鏡検査、どちらがいいのだろう？」と悩まれる方は少なくありません。どちらも胃や大腸の病気を早期に見つけるための重要な検査ですが、それぞれに特徴と役割があります。

今回はバリウム検査と内視鏡検査の違いを、正確かつわかりやすく解説します。それぞれの特徴やメリット・デメリット、適している場面を比較しながら、検査を選ぶ際の参考にしてください。

■バリウム検査とは？X線で身体の外から消化管の内部を検査

バリウム検査は、白く濃厚な造影剤（バリウム）を使って、X線で胃や腸の状態を調べる検査です。胃の場合は飲んで、腸の場合は肛門から注入します。体の外からレントゲン写真を撮ることで、臓器の形や粘膜の凹凸を把握します。

高い位置から迷路全体を見るように、内臓の大まかな構造や異常の位置関係を掴むのが得意ですが、細かな粘膜の変化までは見つけにくいという点が特徴です。

■内視鏡検査とは？体の中をリアルタイムで観察する検査

内視鏡検査（胃カメラ・大腸カメラ）は、カメラがついた細長いスコープを体の中に挿入し、胃や腸の粘膜を直接観察する方法になります。小さな病変や色調の変化にも対応できる高精度な検査です。

例えるなら、迷路の中に実際に入って一つ一つの壁や物体を間近で確認するようなイメージで、バリウム検査では見落としがちな初期のがんやポリープを発見できることが強みです。内視鏡検査では組織を直接採取（生検）できるため、より詳細な診断が可能です。

■胃の検査：バリウム vs 胃カメラ

胃の健康を守るための検査方法として、バリウム検査（胃透視）と内視鏡（胃カメラ）の2つが広く利用されています。それぞれの検査には特徴があります。

◎バリウム検査の胃検診での役割

胃のバリウム検査（胃透視）は、レントゲン撮影により胃の変形や大きな病変をチェックできるため、スキルス性胃がん（進行が速く、粘膜の変化が少ないタイプの胃がん）を発見しやすいという特徴があります。

ただし、平坦な病変や色の違いによる早期がんの発見にはやや劣ります。撮影中はゲップを我慢しながら体の向きを変えるなど、多少の負担もあります。

■内視鏡（胃カメラ）の役割

バリウム検査では小さな病変や粘膜の微細な変化を捉えるのが難しいため、異常が見つかった場合は追加で内視鏡検査を受ける必要があります。

胃カメラは粘膜を直接観察できるため、早期の胃がんを高精度で見つけられます。検査中に気になる部位があればその場で組織を採取して病理検査に回せるのも大きなメリットです。

喉の不快感や吐き気が心配な方には、経鼻内視鏡や鎮静剤を使った苦痛の少ない方法も選べるようになっています。

■大腸の検査：注腸造影 vs 大腸カメラ

大腸の検査には、X線を用いた注腸造影と内視鏡による大腸カメラの2つの方法があります。それぞれの検査には特徴があり、確認できる内容や患者の負担に違いがあります。

◎注腸造影とは？大腸全体の形を確認する検査

注腸造影は肛門からバリウムと空気を注入し、大腸全体の形をX線で確認する検査です。腸の狭窄や位置関係を把握するのには有効ですが、屈曲部に隠れた病変は見落としやすく、平坦なポリープなどには弱点があります。

また、放射線の被ばくリスクや、女性では生殖器への影響にも配慮が必要です。

◎内視鏡（大腸カメラ）でできること

腸の内側をリアルタイムで直接見ながら、小さなポリープも発見・切除ができます。検査中の苦痛は個人差がありますが、鎮静剤を使えば負担を軽減することが可能です。ただし、腸の癒着や長さによってスコープの挿入が難しいケースもあります。

■結局どっちを選べばいい？バリウムと内視鏡の使い分け

バリウム検査と内視鏡検査、それぞれに特徴があり、目的や体調、過去の検査歴によって異なります。どちらを選ぶべきかは、医師の判断に基づくのが良いでしょう。

バリウム検査は比較的短時間で行うことができ、体への負担も少ないため、健診などで広く利用されています。胃の形や大きな病変の把握には向いていますが、微細な粘膜の変化や色の違いによる異常を見つけるのは難しいとされています。

内視鏡検査は、胃や腸の粘膜を直接観察ができ、小さなポリープや早期のがんも見逃しにくく、必要があればその場で組織の採取やポリープの切除が可能です。

すでに何らかの症状がある方、過去に異常を指摘された方、より精密な検査を希望される方には内視鏡検査が適しています。健診としての一次的なスクリーニングにはバリウム、精度重視や症状のある場合には内視鏡といった使い分けが一般的です。

■当院では、苦痛の少ない内視鏡検査をご提供しています

当院では安心して検査を受けていただけるよう、苦痛を抑えた内視鏡検査を行っています。年間1,600件以上（※2017年～現在の実績）の豊富な実績があり、使用機器は細く柔らかいスコープや経鼻内視鏡により、不快感をできる限り抑えた検査を心掛けています。

当院では鎮静剤の使用も可能です。また、すべての内視鏡検査で二酸化炭素を用いた炭酸ガス送気システムを採用しており、検査後のお腹の張りを軽減しています。

検査に不安のある方も、まずはお気軽にご相談ください。胃や大腸の不調、がん検診をご希望の方には、希望に応じた方法をご案内いたします。