汗をかいて食欲も落ちる夏。痩せやすい季節のはずなのに、なぜか体重が増えていると感じる人は少なくありません。
実は、夏こそ太りやすく、痩せにくい季節でもあるのです。冷たい飲み物やスタミナ食も、知らず知らずのうちに体に負担をかけている可能性もあります。
今回は「夏に太る」「夏に痩せない」体のしくみと、健康的に体重をコントロールするための方法を紹介します。
目次
■夏が太りやすく、痩せにくいと言われるのはなぜ?
一見すると汗もよくかき、食欲も落ちる夏は「自然と痩せる季節」のように思えます。しかし、実際にはその逆で、代謝が落ち、脂肪が蓄積しやすい環境が整ってしまうのです。
◎高温による基礎代謝の低下
人間の体は、寒い時期には体温を保つためにエネルギーを使いますが、夏は気温が高いため、体温維持にあまりエネルギーを必要としません。
汗をかいてもそれは体温調整によるものであり、運動による消費とは異なります。そのため、消費カロリーは思ったより少なく、体重が増えやすくなるのです。
◎冷房と温度差で自律神経が乱れる
冷房が効いた室内と猛暑の屋外を行き来すると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経が乱れると代謝が落ちるだけでなく、睡眠や食欲、消化機能にも影響を及ぼし、体調不良から太りやすい状態を招きます。
◎運動不足と冷えが重なる夏の生活習慣
夏は運動を避けがちになる季節です。少し動くだけで汗をかくため、身体を動かす機会が減少します。消費カロリーは減り、筋力も落ちやすくなります。また、冷房による身体の冷えも代謝を下げる要因のひとつです。
■夏太りを防ぐには?日常生活で意識したいポイント
夏太りを防ぐには、「夏だから特別なことをする」よりも、「季節に左右されない生活リズム」を保つことが大切です。
◎湯船に浸かって代謝を高める
夏場はシャワーだけで済ませがちですが、湯船に浸かることで体温が上がり、血行や代謝が促進されます。ぬるめのお湯(38〜40℃)に10〜20分ゆっくり浸かることで、自律神経も整いやすくなります。
◎食事は栄養バランスを意識する
冷たい麺類やアイスばかりでは、栄養が偏ってしまい代謝が落ちます。たんぱく質(肉・魚・豆製品)やビタミン(野菜・果物)を意識的に摂ることで、体調と代謝を保ちやすくなります。調理法はノンオイル中心がおすすめです。
◎運動は短時間でも継続を
炎天下での激しい運動は避けるべきですが、朝夕の涼しい時間帯にウォーキングをする、階段を使う、室内でストレッチを行うなど、無理のない範囲で体を動かすことが代謝維持につながります。
◎睡眠環境を整えて質のよい眠りを
寝苦しい夜は睡眠不足につながり、自律神経の乱れを悪化させます。就寝前にスマートフォンやテレビの使用を控えるなど、睡眠の質を高める工夫が必要です。エアコンや扇風機を活用して快適な寝室を作りましょう。
■ダイエット治療薬という選択肢も:GLP-1ダイエット
ダイエットに取り組んでいるのに痩せにくいと感じている方は、「体質的に太りやすい」可能性があります。医学的なサポートとしてGLP-1受容体作動薬を使用するのも一つの方法です。
◎GLP-1の働きとダイエット効果
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、腸から分泌されるホルモンで、食欲抑制・血糖調整・胃の働きの抑制などを行います。この作用を利用した薬が、近年、肥満治療にも応用されるようになりました。
◎医療ダイエットは医師の診察とサポートのもとで
医療ダイエットは自由診療(自費)となり、副作用もゼロではありません。医師の診察を受け、体質や体調を踏まえた適切な使用が必須です。短期間で大幅な減量を目指すよりも、「痩せやすく太りにくい体質」を目指すための手段として活用しましょう。
■注射と飲み薬、どちらを選ぶ?マンジャロとリベルサスの違い
GLP-1医療ダイエットには「マンジャロ(注射)」と「リベルサス(飲み薬)」の2種類があり、目的やライフスタイルによって選べます。
◎マンジャロ:強力な減量効果が期待できる注射タイプ
GLP-1とGIPという2つのホルモンに作用する週1回の注射薬です。食欲を抑えるだけでなく、体脂肪減少の効果が報告されており、効果は強いですが、初回には医師の指導が必要になります。
体組成はどのように変化したのか?
医療関係者向け – 日本イーライリリー株式会社
◎リベルサス:手軽に始めやすい飲み薬タイプ
GLP-1単体の受容体作動薬で、毎日飲むことで効果が出ます。注射が苦手な方にも始めやすく、段階的に用量を調整しながら使用できるのが特徴です。体重減少効果はマイルドですが、安全性が高く用量の調整もしやすいため、生活に無理なく取り入れられます。
■夏太りをそのままにしないために
夏に増えた体重をそのままにしておくと、秋冬にさらに増える「リバウンド連鎖」が起きやすくなります。無理に頑張りすぎる必要はありませんが、「なぜ太るのか」を理解し、生活の中でできることから少しずつ取り入れていくことが大切です。
医療の力も上手に取り入れながら、自分に合った方法で健康的な減量を目指しましょう。
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