
健康診断で「大腸ポリープ」の疑い。自覚症状がないからと、つい放置しようとしていませんか?
しかし、「たかがポリープ」と油断して放置するとどうなるのか。実は、知らない間に「大腸がん」へ進行してしまうタイプも存在します。
今回は、大腸ポリープの正体から、なぜ放置してはいけないのか、そして治療法まで、わかりやすく解説していきます。
目次
■健康診断で「大腸ポリープ」の疑い…それってどんなもの?
健康診断の結果に書かれた「大腸ポリープ」という文字。聞き慣れない言葉に不安を感じるかもしれませんが、まずは正体を知ることから始めましょう。
◎大腸にできる「イボ」?ポリープの正体
「ポリープ」とは、簡単に言えば皮膚にできる「イボ」のようなものが、大腸の内側の壁(粘膜)にできて盛り上がった状態のことです。実はそれほど珍しいものではありません。
ポリープには、大きく分けると2つのタイプがあります。
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腫瘍性(しゅようせい)ポリープ:将来「がん」になる可能性があるもの(大腸ポリープの多くがこのタイプ)
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非腫瘍性(ひしゅようせい)ポリープ:がんになる可能性が低いもの
見た目だけではどちらのタイプか完全に判断するのが難しいため、見つかったら詳しく調べる必要があります。
◎自覚症状は?気づかないうちに進行しやすい
初期の小さなポリープは、自覚症状がほとんどありません。ただし、ポリープがかなり大きくなると、以下のようなサインが出ることがあります。
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便に血が混じる(血便)
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便が細くなる
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下痢や便秘を繰り返す
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お腹が張る、痛む
しかし、これらの症状が出たときには、ポリープがすでに大きくなっていたり、別の病気が隠れていたりする可能性もあります。「症状がないからまだ平気」という自己判断は禁物です
■【要注意】大腸ポリープを「放置」するとどうなるの?
ここでは、なぜ放置してはいけないのか、そのリスクについて詳しく解説します。
◎「今は良性」でも…将来「がん」に変わるリスクとは
注意が必要なのは、最初は良性でも、時間が経つにつれて性質が悪くなり「がん」へ変化する可能性があるポリープ(腺腫)です。これを放置し続けると、将来的に大腸がんになってしまうリスクがあります。一般的に、大きさが1cmを超えると、その危険性は高まると言われています。
◎放置せずに「見つけたら適切な対処」が大切な理由
逆に言えば、「がんになる前の段階」で切除してしまえば、大腸がんそのものを予防できるということです。ポリープ発見は、未来の大きな病気を防ぐ大切な機会でもあります。「忙しいから」と後回しにせず、早めに対処しましょう。
■ポリープが見つかったら、次は何をすればいい?
「ポリープがあるかもしれない」と言われたら、次のステップへ進みましょう。その第一歩が、専門的な検査でポリープの状態を詳しく調べることです。
◎「内視鏡検査(大腸カメラ)」の役割
ポリープの正体をはっきりさせるには、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」が有効です。肛門からカメラを入れ、大腸の中を直接観察します。小さな病変も見逃さず、必要ならその場で切除できるのがメリットです。
◎大腸検査は痛い?恥ずかしい?
痛みや恥ずかしさから検査をためらう人は少なくありません。しかし、イメージだけで放置せず、まずは一度相談してみましょう。
痛みへの配慮
鎮静剤(軽い麻酔のようなもの)を使って、ウトウトと眠っているような状態でリラックスして検査を受けられるクリニックが増えています。「気づいたら終わっていた」という方も少なくありません。
恥ずかしさへの配慮
検査着はお尻の部分だけが開く専用のものを使用し、女性医師や女性スタッフが対応してくれる医療機関も増えています。プライバシーには最大限の配慮がなされています。
■「手術」が必要と言われても大丈夫!負担の少ない治療
「ポリープを切る=手術」と聞くと、何日も入院して大変な思いをするイメージがあるかもしれません。しかし、多くのポリープは体への負担が少なく治療できるようになっています。
◎検査のついでに完了?忙しい方でも可能な「日帰り手術」
「手術」といっても、大掛かりなものは少なくなりました。多くのポリープは、内視鏡検査のついでにその場で切除する「日帰り手術」が可能です。
大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないため、切除時の痛みはほとんどありません。忙しい方でも受けやすい治療法です。
※ポリープの大きさや数、全身の状態によっては、入院が必要となる場合もあります。
◎治療後の生活は?食事や運動など、知っておきたい注意点
日帰り手術とはいえ、お腹の中の傷が完全に治るまでには少し時間がかかります。治療後1週間程度は、合併症(出血や穴が開くなど)を防ぐために、いくつかの注意が必要です。
食事
刺激の強いもの(辛いもの、脂っこいもの)、アルコールは数日間控え、消化の良いものを心がけましょう。
運動
激しい運動(ジョギング、筋トレ、ゴルフなど)は、腹圧がかかり出血の原因となるため、約1週間は避けましょう。散歩程度なら大丈夫です。
入浴
当日はシャワーのみにし、長風呂やサウナは数日間控えましょう。
旅行・出張
万が一の出血に備え、すぐに受診できない遠方への移動は1週間程度避けたほうが安心です。
■「もしかして?」を放置せず、安心を手に入れよう
「ポリープ=がん」ではありませんが、「放置=がんのリスクを高める可能性がある」ことは事実です。内視鏡検査は少し勇気がいるかもしれません。しかし、その一歩が、将来の「大腸がん」を防ぐことにつながります。
もし健康診断で「要精密検査」となっていたり、気になる症状があったりするなら、放置せず、まずはご相談ください。
