大腸ポリープは、大腸内に生じる小さな突起物です。多くの場合、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、進行するとさまざまな症状が現れることがあります。たとえば、腹痛や便秘、下痢、さらには血便などが挙げられます。おならの回数が増えたり、臭いが強くなった場合も大腸ポリープの影響かもしれません。
この記事では、大腸ポリープが原因で起こりやすい症状について詳しく解説します。さらに、チェックリストを用意し、簡単に症状を確認できるようにしました。健康を守るために、ぜひこの記事を参考にして必要な場合は早めに医療機関を受診してください。
大腸ポリープで起こる症状
大腸ポリープは、大腸の内側の粘膜がイボのように盛り上がったものです。50歳以上の方に多く見られ、年齢が上がるほど増える傾向があります。大腸内視鏡検査を受けた人の約40%の方に見つかると言われています。
大きさが小さい初期の大腸ポリープは、一般的に自覚症状がありません。ただし、肛門近くにできると血便や粘液が混じった便が出ることがあります。また、大きなポリープの場合には、便の通り道が狭くなり、腹部の張りや痛み、排便の異常が起こることがあります。
- ・腹痛
- ・吐き気
- ・便秘・下痢
- ・お腹の張り・おなら
- ・粘液便
- ・血便・貧血
- ・排便の異常
このような症状が繰り返し続く場合は、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
腹痛
大腸ポリープが原因でお腹に痛みが出ることがあります。腸の内側の粘膜は痛みを感じません。しかし、腸管壁が引き伸ばされると痛みを感じます。これは、内視鏡検査の際に大腸を無理に押し入れると痛みを感じるのと同じ理由です。
ポリープが腸内にできた場合、腸の流れが悪くなり、腸管壁が引き伸ばされるため、痛みを感じることがあります。特に排便前に痛みを感じることが多く、これはS状結腸という部分で起こりやすいため、左下腹部に痛みを感じることが一般的です。
吐き気
大腸ポリープが原因で吐き気が起こることがあります。これは、ポリープが大きくなると腸の通過が妨げられ、便秘や腸閉塞を引き起こすことがあるためです。
便秘・下痢
大腸ポリープができた場所や大きさなどによって、腸への刺激となったり、腸の内容物が正常に通過できず下痢や便秘症状があらわれることもあります。特に大きなポリープは、腸閉塞の原因となることがあるため、注意してください。
また、大腸ポリープが原因で下痢が起こるというよりも、もともと下痢の症状がある人に、大腸ポリープが見つかることがあります。その他に注意する下痢症状として、粘液性の白い透明な下痢や大量の下痢です。
お腹の張り・おなら
お腹が張って不快に感じる状態を腹部膨満感といい、腸内にガスや便がたまって排出されない場合に起こることがあります。ポリープが大きい場合、便の通過を妨げるため、おならやお腹の張った感じが増えるかもしれません。
粘液便
白くて半透明な便が出たら注意しましょう。大腸に何か異常があるといったサインかもしれません。直腸にポリープがある場合、白く半透明な粘液が混じった便(粘液便)が出ることがあります。
血便・貧血
大腸ポリープが大きくなると、便が通過する際にポリープと擦れて出血することがあり、便に混ざることで、血便が現れることがあります。ただし、ほとんどの場合は目に見えるほどの出血はありません。また、大腸ポリープから少量ずつ慢性的な出血が続いた場合、貧血を引き起こすことがあります。
排便の異常
大腸ポリープが原因で、排便に異常が生じることがあります。たとえば、便が細くなることがあります。これは、直腸やS状結腸にポリープができて腸が狭くなるためです。ただし、便が細くなる理由には便が軟らかい場合や、1日に何度も排便する場合にも見られることがあります。
最初の排便があった後、少し時間をおいて何度も排便することがあります。これは、大腸の上部にある便が順次下に送られてくるために起こる症状です。食事や運動が腸を刺激して排便を促すため、症状が長期間続いている場合は体質的なものかもしれません。ただし、今まで起こっていなかった場合は大腸ポリープの可能性があります。
この数ヶ月の間に、常に残便感があり便意を感じるが少量しか排便できない場合、ポリープが原因かもしれません。ただし、ストレスなどが原因で便意が頻繁になることもあります。
大腸ポリープチェックリスト
以下の質問に「はい」または「いいえ」で答えてください。
- ・血便が出たことがありますか?
- ・便に白くて半透明な粘液が混じったことがありますか?
- ・左下腹部に痛みを感じることが頻繁にありますか?
- ・便秘や下痢が続いていますか?
- ・お腹が張っていると感じることがありますか?
- ・貧血の症状がありますか?(疲れやすい、顔色が悪いなど)
- ・便が細くなったり、残便感がありますか?
この質問に「はい」が多い場合は、大腸ポリープの可能性があります。
まとめ
大腸ポリープは、ある程度の大きさになると症状が現れることがありますが、小さいサイズ(数mm程度)では基本的に症状が出ることはありません。大腸ポリープは40歳ごろから発症しやすくなり、時間をかけて大きくなり、がん化することがあります。
今回、紹介した大腸ポリープチェックリストに当てはまる場合、または症状がない方でも、40歳ごろになったら大腸カメラを受けることをおすすめします。